イラクサの棘
第2章 プラン
学生の頃、狭いキッチンに立つ男2人
片寄せながら並んで作り出す料理は
シンプルだけど、味はどれも美味かった。
※ ※ ※
「こんだけ美味く味付けできるなら
将来は潤を嫁にもらいたいな」
「は?やっ、やだよ。
どうせ、俺にばっか家事押し付ける気だろ?
それに智のほうがなんでも手際いいじゃん。
俺は家事は分担制にしたい主義なんだもん」
冗談混じりの智からのプロポーズみたいな
台詞が照れ臭くて
つっけんどんに横を向いたら
伸びてきた腕に抱きしめられていた。
「だな、なんでも2人で平等にやろうな。
けど、エッチだけは潤が嫁だよ?
俺とエッチする時、
潤はめちゃくちゃ気持ちよさそうに
感じてくれるもんな」
「なっ、なんだよ、それ!」
「だってさ、
潤は身体中どこもかしこも感じ易くて
どこでだって俺が誘ったらしてくれるじゃん。
こんなにもツンツンなのに
エッチしたらめちゃくちゃかわいくなるって
ところがたまんないんだよなぁ」
「そ、それは、智が、エロ猿だからだろ!
俺は、べつに…バカッ知らない!」
「アハハ、ごめんごめん。」
「もう、あっち行け!」
腕から逃げようにも智の力は凄く強くて
抜け出せずに抱きしめられたまま。
腕の中、上昇し始めた2人の体温
※ ※ ※
あの頃の自分は
ただただ好きで、好きな相手との
色あざやかな未来しか想像できてなかった。
盲目的に
貪欲に愛されてると思い込んでた。
智を信じることに迷いがなかった
あの頃の愚かな自分。