イラクサの棘
第20章 きっかけ
「泣き疲れて眠り込んだ
おまえを抱きしめながら、潤のその
首筋のホクロに触れたよ。
恋焦がれたおまえの存在を自分の腕の中に
抱けること
これは奇跡だと思った。
その晩、俺は誓ったんだ。
おまえのことをしあわせにするって
潤の抱えてる過去やしがらみ、苦しみの
全てから解放させて
おまえに
俺のことを好きにならせてやるってな。」
真実の瞬間
それは突き刺さる痛みなのか
それとも
ついえる命のともしびの揺らぎなのか
なぜ?
複数のパズルの符号が
脳内でうまくはめ込めれないまま
「……翔さん、俺
あなたに…相応しくない…
きっと、その絵は俺じゃないよ…」
知らない
俺は、見たことがない
だって智がそんな絵を描いてたなんて
俺は知らなかった
「間違いなく潤、おまえだよ。
ふさわしいとかじゃない、俺が見つけたんだ
潤と旅して、おまえのことを知る度に
潤を愛しいってつよく思えてきてた。
俺は松本潤が好きなんだよ。
おまえを形容するものだとか、外見とか
身体だけじゃなくて
松本潤が愛おしいんだ。
だから潤も、
俺の背景とか、俺を形容するモノだとか
は除外して俺だけを見て考えてくれ。」
「翔さんだけを…」
心よりも
身体のほうが正直なんだ
こんがらがる脳内でいくら考えたって
わからなくなるだけ
右手を伸ばして
もう一度翔さんの太腿に触れてみると
車通りの少ない道路に
ブレーキを踏んで車を停止させる翔さんが
俺の手を優しく包み込んでくれる。
「あのね、俺…翔さんに
触れてると、熱くなってきて…
翔さんに触れられると
もっと熱くなるんだ。…ほら、ね?」
翔さんの掌に包まれたまま
俺の手を下腹部の中心まで移動させる
顕著な反応し始めてる
俺の熱の疼きを知ってもらいたくて
「潤、俺でこんなに感じてくれてるの?」
翔さん腕
翔さんの指
翔の手のひら
「はぁ…んん…翔さん…ぁ…触って…」
考えるよりも先に
身体が、心が、翔さんを求めてる。