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イラクサの棘

第21章 微熱

潤side


「…翔さん…どこ?」


ぼんやりをした視界に広がるのは真っ白な天井。

たしか、俺…
車内で翔さんの唇に包まれて
最後には、翔さんのあたたかな口の中に精液を
おもいきり吐き出した筈。

なのにそこで意識は途絶えてて…


今は、ベッドの上?
ここは…どこ?

額には冷却剤が貼っててくれてる。


「お、やっと目が覚めたか?
具合はどうだ?」

松岡先生のおおきな声が開いた扉から
聞こえてきた。

「……あの?なんで?松岡…先生が?
翔さんは?」

「ああ、あいつは今買い出しだ。
おまえの熱がかなりあがってな、
急遽病院へ戻ってきたんだよ。
どうせ、車内でイチャコラしたんだろって
怒鳴ってやったからな。」

「そんな…違います…」

「まあとにかく寝てろよ。
翔ならすぐ帰ってくるからさ。」


帰ってきた翔さんは
松岡先生のメモ書きどおりの品を
袋いっぱいにして買ってきた。


ベッドで横になってる俺と目が合うと
泣きそうな笑顔で駆け寄ってきて
優しくおでこに触れてくる。

「ごめんな、大丈夫か?
結局、俺が潤の体調を悪くさせてるな。」

「ううん、違うよ。
翔さんは、俺のことを…思って…」



エッヘン!!ゴッホン!!


手を取り合って見つめ合う2人に
向かってかなり激しめな咳払い。

「あのなぁおめえらなぁ、俺が居ること
忘れてねぇか!」

「あ、言われた通りの食材買ってきました。」

「ウッシ!潤には美味い雑炊な
翔と俺は鍋にするぞ。
ほら、こっちに来い。
仕方ねえけど、不器用な翔にも手伝わせてやる。」

「じゃあ…俺も、」

「ダーメ、熱ってのは一時は下がっても
また夜になって上がってくるんだ。
潤は大人しく寝てろ。」





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