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イラクサの棘

第21章 微熱



ガッチャンッ!

翔っ、おめえなにやってんだ!

バリバリっ!ガッシャーーン!!

おいっ翔っ!!!





「フフっ翔さん料理苦手だったもんね…」


キッチンから松岡先生の翔さんの名前を叫ぶ
おおきな声の響きを聴きながら
ふたたび眠りに落ちていった。



※ ※ ※
翔side



「…熱い…はぁ…はぁはぁ…」


「潤、目え覚めた?」

「…うん、ぁは、はぁ…」

「食欲は?なんか食べたいもんある?」

「…喉渇いた……」

とろりとした瞳は熱のせいか潤んで
どこか幼く見えた。
ストローを刺した経口補水液を飲ませる。



「も、いい…ありがとう……熱い…」

「ん、分かった。熱計ろうな。」

汗ばむ額を拭ってやりながら
枕元に着替えを持ってきた。
計ってみると熱は38度をこえている。

「潤、汗タオルで拭いてやるから
ちょっと待ってろよ。」

「…翔さん、松岡先生は?」

「帰ったよ。っていっても隣の部屋
に泊まってんだけどな。」


よくわかってない顔の潤には
ちゃんと熱を下がってから説明してやろう。
熱めの湯でしぼったタオルを用意してると
洗面所に潤がやって来た。

「隣の部屋って誰も居ないよ?」

「ああ、隣っていうのは、
707号室ってことだ。ちなみに
ここは708号室な。」

疑問符を浮かべる潤の身体、手足を
拭ってやりながら急いで着替えを取りに行き、
パジャマを着替えさせた。


「出汁の香りかな?昆布?」

松岡先輩が作ってくれた海鮮鍋の残り
明日の朝雑炊を作って潤にも食わせてやると
隣りの部屋へ帰っていった。
明日は、朝からあのデカい声を聞かなきゃだ。 

潤にたまご粥も作ってくれてる。
俺のあまりの手際の悪さに
鍋を弱火で温め直すだけにしてくれた。

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