イラクサの棘
第22章 どこ
あの日、木漏れ日の中に見つけた。
運命の巡り合いだと強く思ったから
俺は潤に絵のモデルを頼んだ。
そして、潤に告白した。
俺の思うようにこの手で、
潤の無垢で清らかな身体を一から
俺だけのモノに、極上の身体にしていったんだ。
潤、実家に戻ってからの俺は
離れたおまえが恋しくて恋しくて
淋しくて、切なくて
抱きしめてたくて堪らなかったんだ…
オヤジの入院、事業の借金、おふくろの
介護疲れに病気の発見
目の前に突きつけられる現実の重責から
つい酒に逃げてしまった。
学生の頃も、酒での失敗は山ほどあった
いつだって潤にこっ酷く叱られてたのに
俺は今でも変わってねぇんだよな…
あの日、あの夜
美也子と2人きりで飲まずにいたら…
せめて雅紀も一緒で3人で呑んでたなら
俺は酔っ払って美也子とセックスなんて
しなかったんじゃあ…
だとしたら
晶だって、産まれてなくて
美也子と授かり婚なんてせずに
俺は今でも1人でいられたのか?
そしたら、俺は
今も潤と別れずにすんだんだろうか?
遠距離恋愛なんて俺にはできねぇんだって
自分勝手な言い訳。
潤との約束を、親孝行の為だからって
捻じ曲げた挙げ句に
切り捨てるように電話だけで別れを告げた
マジで、サイテーだったよな…
なのに俺は
最後に抱いた潤の身体が今でも忘れられない
潤
潤どこだ?
今おまえは何処にいる?
潤、おまえに逢いたい
ちゃんと潤に会って謝りたいんだ。
ずっとおまえが忘れられなかった
今更そんな馬鹿げたセリフを告げても
おまえは喜んでくれるかな。