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イラクサの棘

第3章 家族





「智兄、お味噌汁よそってくれる?」

「おう、まかせとけ。」

最近は雅紀と晶と俺の3人で食べる
飯の時間が増えてきてる。

病棟の看護師主任を任されてからは夜勤も頻繁にあり
美也子とのすれ違いの生活が続くことが多くて
その分を埋め合わせしてくれるかのように
弟の雅紀が俺ら親子の暮らしをサポートしてくれてた。



親戚の喫茶店で働く雅紀はなにかと時間に融通が
きくこともあり、
幼稚園のお迎えも快く頼まれてくれて
晶をそのまま店で預かってくれることもある。



「智兄、味付けどうかな?」

「うん、バッチリ!
ナイショだけど雅紀の味のほうが美也子より
味付けは美味いぜ」
 
「ホント?クフフやったね。
やっと姉ちゃんに勝てるものができちゃった。」

「なーに言ってんだ。
雅紀には、いいところめちゃくちゃあるぞ。
料理だって、スイーツ作りだって、掃除も
洗濯も、家事全般なら俺ら3人の中じゃあ
雅紀がダントツだぜ。」

「クフフ、ありがとうね智兄。
勉強でも、運動でも姉ちゃんに勝てたこと
なかったし、ほら俺ってチビだったし
グズで泣き虫で姉ちゃんと
智兄のあとばっか追いかけてたもんね。」

「だったな、けど俺にとっては
なつっこいチビ雅紀が可愛くてホントの弟みたい
に思ってたんぜ。今じゃすっかりデカくなったけど
相変わらずの泣き虫だもんな。」

「……なっちゃったね。」

「ん?」

「弟だよ、姉ちゃんと智兄が結婚しちゃって
ホントの弟になったんだもんね。」

「だな、これからもよろしく頼むな
かわいい弟よ。」


「うん、智兄ずっとずっとだぁーい好き。」

「ずるーーい、あきらもぉ」

「お、晶も、とうちゃんのこと好きかぁ?」

「うん、とうちゃんもかあちゃんも
だいすきぃ、
でもまーくんがいちばんやさしいから
だぁーいだぁーいだぁーいすき」

「じゃあ3人で仲良し抱っこだねー」





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