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イラクサの棘

第23章 秘事2


夫婦の寝室


乱暴に脱がされる衣服、性急で強引な手つきの
胸への愛撫までは姉ちゃんの名前で呼ばれたのに

手慣れたように尻の狭間にローションを
塗り込む頃には別の誰かの名前を呼び始める。

今夜の背後からの挿入で絶頂
装着したゴムの先端に吐きだされる
智兄の濃厚な白濁。

「…潤っ……しゃぶれよ…
ほら、すきだろ?きれいにすんの。」

「……んん…はぁ…智…すきぃ…」


智兄を名前で呼べるわずかな時間。
泥酔した智兄とこうして誰かの身代わりで
SEX行為に至ってしまうのは
もう何度目だっけ??


晶が産まれた直後、この不誠実な行為を、
姉ちゃんに見つかったときは
もう死ぬしかないって程思い詰めたのに

リビングに座ってた姉ちゃんは以外なほど
穏やかな顔をしてて
顔面蒼白で項垂れてた俺にいつもの口調で
持ちかけられたのは悪魔的な契約。



※ ※ ※


「ホントにホントにごめんなさい
……姉ちゃん
でもね、あの…智兄は悪くないから…
俺…どこか遠くに行くことにするから…」


「はあ?なんで?
雅紀、あんた智の事
ずっと好きだったでしょ?
だったらこれからもテキトーに泥酔した智の
性欲処理をしてやってくれない?」

「へっ?はぁ?!
姉ちゃん大丈夫?もしかして
産後鬱とかになっちゃったの??」

ひと笑い終えた後の姉ちゃんの口から
語られる言葉を
すぐに理解することは出来なかった。


智兄の東京での恋人が同性だったこと。
その恋人が忘れられずにいること
両親への想いと介護疲れや負債、借金等の
現実生活の苦悩
様々な足枷があの頃の智兄を苦しめてた事。

そして
現実逃避として、酒に逃げて
姉ちゃんと男女の関係になってしまった事。



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