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イラクサの棘

第28章 秘事3




釣り竿を片手にバケツを持って
長靴姿にサングラス
ザ、海の男って感じがする智兄。
ワイルドな男に見えてすごくかっこいいんだ。

炊き込みご飯のおにぎりと
たまご焼きに、タコさんウインナー
晶の好きなから揚げもはいった
お弁当を持って
3人で漁港にある釣り堀に来てる。
週末には朝イチが開かれて露店もたくさん
並ぶからかなりの賑わいになるんだ。


「クフフ、姉ちゃんも来れたら
良かったのにね。」

「んーだな。けど頭痛がするって
疲れが溜まってるんだろうな。
ゆっくり寝かせくれって言ってたしな」

手際良く竿にエサを着けてくれて
手渡してくれる智兄。
ほんと釣りの時の智兄の手際の良さって
すごいんだもん。


「ん?どしたぁ?」

「なんかね、智兄がベテラン漁師さん
みたいでかっこいいなぁって思ったんだ。」

「なんじゃそら。
けど、ありがとな、晶の為に
俺らを連れ出してくれて。
せっかく雅紀も休みなのに、俺ら親子
野郎3人で出かけるなんてさ。」

「なんで?違うよ!
俺だってすっごく楽しみにしてたんだよ?
お弁当だって、別に面倒みるとか
そんなんじゃないからね!」

「そっかぁ、ならありがとな、雅紀。
よし、今日はデッカいの釣るぜっ」


あのね、晶の為じゃないよ…


智兄の元気がないから
智兄がため息吐くのを見てるのがつらいから
智兄にはいつも笑ってて欲しいから。


「とーちゃーんまぁーーくん
おさかなさん、まだぁ?」

姉ちゃんの代わりだっていい
誰かの身代わりでも、
智兄の傍で、智兄の笑顔が見れるなら…


これは絶対に秘密の気持ち
ナイショのナイショだけどね


大好きだよ、智兄。


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