イラクサの棘
第29章 こことは違う場所
智side
「ふぁーーああ
あいつらおそいなぁ、ったくどこまで
買いに行ってんだぁ?」
今日はイマイチ
大した当たりも来なくて
ぼうっとしてても、いい加減腹が減ってきた。
飲み物を買いに出かけた
晶と雅紀がなかなか帰って来ねえ。
晴れた空の下、シートにどかりと座り込んで
雅紀の用意してくれたビールをあおる。
晶も4歳になった
幼稚園にも楽しく通ってくれてる。
今、もし、俺が居なくなったとしても
晶は雅紀に懐いてくれてるし
嫁さんの美也子の稼ぎのほうが俺より年収も高い。
俺の存在なんてなくったって
暮らしていけるんじゃねのか?
もう、俺が出て行っても…
この3人ならなんとか暮らしていける。
絶対に考えちゃいけない
サイテーの自分勝手な妄想
自由になりたい
なにからも囚われたくない
責任だとか、義務とかからの
背負うべき煩わしさの全てから解放されて
自分一人きり…ただ身軽になりたい
いや違う
もう誤魔化せねぇ
俺は、潤のところへ行きたいだけなんだ。
携帯越し
数年ぶりに耳に聞こえた潤の声は
変わらずにやわらかくてあまい声で
俺の中で、ずっとずっと押し殺していた
胸の奥底にある
衝動の扉の鍵が差し込まれた音が聞こえた。
…俺はやっぱり
潤の元に戻りたい
潤のそばに
潤の隣りに
潤を…おまえを抱きしめたい。
「ふぁーーああ
あいつらおそいなぁ、ったくどこまで
買いに行ってんだぁ?」
今日はイマイチ
大した当たりも来なくて
ぼうっとしてても、いい加減腹が減ってきた。
飲み物を買いに出かけた
晶と雅紀がなかなか帰って来ねえ。
晴れた空の下、シートにどかりと座り込んで
雅紀の用意してくれたビールをあおる。
晶も4歳になった
幼稚園にも楽しく通ってくれてる。
今、もし、俺が居なくなったとしても
晶は雅紀に懐いてくれてるし
嫁さんの美也子の稼ぎのほうが俺より年収も高い。
俺の存在なんてなくったって
暮らしていけるんじゃねのか?
もう、俺が出て行っても…
この3人ならなんとか暮らしていける。
絶対に考えちゃいけない
サイテーの自分勝手な妄想
自由になりたい
なにからも囚われたくない
責任だとか、義務とかからの
背負うべき煩わしさの全てから解放されて
自分一人きり…ただ身軽になりたい
いや違う
もう誤魔化せねぇ
俺は、潤のところへ行きたいだけなんだ。
携帯越し
数年ぶりに耳に聞こえた潤の声は
変わらずにやわらかくてあまい声で
俺の中で、ずっとずっと押し殺していた
胸の奥底にある
衝動の扉の鍵が差し込まれた音が聞こえた。
…俺はやっぱり
潤の元に戻りたい
潤のそばに
潤の隣りに
潤を…おまえを抱きしめたい。