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イラクサの棘

第31章 帰路

雅紀side


「智兄も眠ってていいからねぇ。」

チャイルドシートで眠り込んでる晶は
シャボン玉のセットと、
智兄がゲットした車のおもちゃを
両手で抱っこしたまま。

「こいつ、輪投げめっちゃ楽しそうに
喜んでたぜ。
なぁ雅紀、どんな2人だった?
晶と一緒にいてくれてた2人って?」

「えっとね、うーんと爽やかな
イケメンさんと、ものすっごい美人さん
2人で並んで立ってるとね、モデルか
タレントさんかなぁっとか思っちゃったもん。」

「そっか、カップルかぁ…
あのさ、もしかして、美人のほうの口元と唇に
ホクロとか無かった?」

「うーん…どうだったかなぁ
おもいだせないや。
だって、俺あのときめっちゃ晶探し回ってて
ものすごく焦ってたし。」

「だよな、すまんすまん。
悪いな、変なこと聞いちまって…」

「そういえば、智兄なんでさっき走りだしたの?
誰か知り合いでも見つけたの?」

「ん、ああ、ちよっとな
似てる奴がいたと思ったんだけど
やっぱ、俺の見間違いだったみたいだ。」

「ふーん、そうなんだ。」

「そういえば、晶がさ、
輪投げはお兄ちゃんのほうがへたっぴ
だったって言ってたけど、
この握ってるシャボン玉は美人の
お姉ちゃんが輪投げでゲットしたのか?」

「うーんそれもわかんないや。
晶が無事だって安心したら気が緩んじゃって
輪投げしたことも後から晶に聞いたし。
でも、優しそうな2人だったし、
とってもお似合いなカップルだったよ。
仲良しそうに手も繋いでたし。」
 
「へっへぇ、そっかぁ…」




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