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イラクサの棘

第31章 帰路




気が動転する
後部座席の晶まで異変で目覚めたのか
泣き出してしまい、
自分が何をどうすればいいのか
パニックになりかけた時

窓ガラスをたたく音がした

「あの?どうかされました?
大丈夫ですか?」

俺らの車の異変に気がついてくれた
後車の運転手が声をかけてきてくれた。

「あ、あの、こいつが運転中に急に
過呼吸になったみたいで…
雅紀がっ…俺のせいでっ
俺どうしたらいいかっ
雅紀を助けてください!!」

「分かりました、
とりあえず、呼吸を落ち着かせないと。
シート倒しますよ、
それから後部座席に移動してお子さんの
ことみててあげてくださいね。」



処置の迅速さ、手際の良さ、
車内の状況をすぐ様理解してからの
素早い行動に判断力
どれも俺が持ち合わせてないもの。

雅紀の呼吸が落ち着きを取り戻した
意識が戻らないので
とりあえず病院に運びましょうと言ってくれる。

「あ、僕は風間って言います。
診療内科の医師をしてして、いまから
僕のクリニックへ運びますね。
あ、大丈夫です、このままこの車を
運転していきますから。」


雅紀の車を運転してくれて
雅紀をクリニックに連れて行って
クリニックのストレッチャーで
病室へと運び込まれる雅紀。

ベッドの上で眠る雅紀の傍に
ただぼんやりと座ってるだけ。

ここまでで、
俺が雅紀の為にしてやれる事なんて
なんにも無かった。


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