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イラクサの棘

第32章 兄と弟

風間side



「分かったよ、分かったって。
何度も言わないでよ。
ちゃんとするからさ、兄さん。」

「あははは、ごめんごめん
ても、人前では絶対に呼んでないでしょ。」

「じゃあまた、連絡するから
大丈夫、任せてくださいよ。二宮先生。」

双子だって言っても
きっと誰も気付かない

実際に生まれてからすぐ、直後に別々に
引き離されたし
俺ら2人が育った環境も、場所もなにも
交わることはなかった。

二卵性双生児

だけど似たようなところもあったりするから
遺伝子って不思議だなって思う。

まあ、日頃は邪険にされて相手にも
されないのに
たまにこうして連絡してきて
頼み事をされるのも悪い気はしないんだ。

だってさ
俺らってこの世で唯一の
絶対無二の絆で結ばれてるんだよ?

お兄ちゃんに頼られるのは
弟としては、やっぱり嬉しいんだよね。

さてと、
週末はあの漁港までドライブね。
監視することは
さまざまな角度から観察することに似ているから
嫌いじゃないしね。


「あーあ、兄さんとたまには一緒にメシでも
食べたいなぁ、あとカラオケとかも
いいかも。」

お、メールが届いた。
添付ファイルの画像を開くと見覚えのある顔。




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