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イラクサの棘

第35章 朝のヒカリ

潤side




おだやかな波の音



ずっとこの音に浸っていたいくらい
心地良いしらべ



うちよせる波
引いてゆく波



あたたかい腕が抱き寄せてくれて
指先が背中を撫でるように優しく触れてくれる



「おはよ、潤」

「……ん……翔、さん…あさ?」

「ああそうだよ、けどまだ寝てろ。
昨日は無茶させたからな。」

「フフッ…じゃあ、子守唄、歌ってほしいな。」

「歌かぁ?うーーん
じゃあ、フランス語でもいいかぁ」



外国語の歌なら
上手いのか、下手くそなのかが
分からないだろうって
眉根を寄せ照れるように微笑む翔さんの言い訳。
ささやくように口ずさんでくれた歌は
まったく意味の分からない異国の言葉

だけど
優しいメロディーの旋律は
どこかで聞いたことのあるような唄で

翔さんのあまくて優しい声の響きに
いつの間にか意識を手放せていた。





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