イラクサの棘
第35章 朝のヒカリ
翔side
L'hymne à l'amour
腕の中でもう一度眠りにつく潤
とじた瞼にかかる睫毛の長さ
しずかな寝息
昨夜あんなにも淫靡にみだれた潤と
同じ人物だとはおもえないあどけない寝顔
幼い頃よくおふくろが口ずさんでいた
両親が好きだった歌
2人がこの世から去った後
おっさんのお気に入りの書斎の
古いレコードコレクションの音色で
知った曲名。
愛の讃歌
日本語訳の興味を聴いてみても
さほど興味は持てなくて
なぜおふくろが原語の歌を口ずさんでたのか
その理由を知ることは永遠にない。
烈しい恋の唄
許されるべき相手ではない
棘の道
その行方は
行き先は
行き着く果ては
潤、おまえが目覚める朝に
俺のありったけの愛をちりばめてやるよ
たとえおまえが
それを望まなかったとしても、
いつかそれを
おまえが受け入れる日が訪れるから。
潤、覚悟しとけよ