イラクサの棘
第40章 ルーツ
抱きしめてられて翔さんからくちづけを
落とされると
ピアノの旋律?
驚いた、じいやさんが演奏してくれてる。
「もともと俺がピアノのを始めるきっかけは
じいやが両親の為に演奏してたからなんだ。
だから、俺のはじめてのピアノの先生は
じいやになるな。」
「いいえ、滅相もございません。
お坊ちゃまはすぐに上達されましたから。」
海外の音楽学校への留学
全寮生の中等部のピアノ学科に
入学して夏休み休暇に
留学先に訪ねてきてくれたご両親。
その帰路の途中に事故にあったそうだ。
「おっ、曲が変わったな。」
「はい、
Save The Last Dance For Me
いつもこれがお二人が踊る最後の曲で
ございました。」
「そうだったな。」
ワルツなんて踊れなくって
翔さんと抱き合いながら、2人で揺れてるだけ
それだけでも胸が熱くなるほど
しあわせな気持ちが込み上げてくる。
「潤、毎年ここで2人で踊ろうな。」
「うん、じゃあ俺もダンスの練習しなくちゃ」
「もしよろしければ、わたくしめが
潤さまに手ほどを…」
「え?爺やさんが?ぜひお願いします!」
「ダメダメ!じいやでもダメだ!
潤のダンスの相手は俺だけなんだからな!
ほかのヤツはじいやだってダメだぞ!」
「お坊ちゃま、それは
ジェラシーでございますか?」
3人で笑い合いながら優しい時間が過ぎていった。