イラクサの棘
第8章 温泉
潤side
「ふぅ、気持ちいい。」
手作りのお風呂って
もっと簡単なものだと思ったら
檜風呂の浴槽に、岩で組み上げた露天風呂まで
どうみても素人技とは思えないや。
単純泉って教えてもらったお湯は
すこしぬるぬるしてて美肌効果があるらしく
木酢入りの布袋をよく揉んで入浴すると
薬草効果も更に上がって、岡田先輩が
身体の芯から温まるぞって教えてくれたんだ。
「俺1人で独占してるのが
なんかもったいないや。」
勧められまま俺1人だけで
先には温泉に入ることになったんだけど
手脚を伸ばしてもゆったりとしていて
男2人が入っても充分な広さの浴槽。
「おーい潤、のぼせてないかぁ?」
「大丈夫、すっげえ気持ちいいよ
翔さんも一緒に入ればいいのに。」
「まだゴリラ先輩からの頼まれて事があるんだ
ったく俺も客なのに、人使いが荒いんだよなぁ。」
「フフっ、でもとってもいい人だね。
なんでもつくれちゃう器用な人だし
話してても、すっげえ勉強になって楽しいし。」
「そうか、なら良かった。
お節介で世話焼きだけど、いい先輩だからな。
バスタオルここの使えって言ってくれてるから、
ここに置いておくぞ!」
「はーい。」
「肩までしっかり温まれよ。
髪、しっかり乾かすんだぞ!
あと、ペットボトルも置いてるからな
水分補給も…あ、ヤベ呼ばれてるっ。」
いってらっしゃいと扉越しに声をかける。
ホント、母親かよってツッコミたくなる。
翔さんだって岡田先輩に負けないくらいの
世話焼きなんだから。
2人ともどっちも優しくて
面倒見が良くて頼り甲斐がある。
でも、やっぱり優しいのは翔さんの方だけど。
「ふぅーーっホントいい気持ち
すっごい贅沢だなぁ、この景色も
翔さんと観たらもっと楽しかったかも。」