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イラクサの棘

第12章 to be or not to be

潤side



この本ハムレットだ

先生とご一緒に劇場に足を運んで
何度か観覧したことのある作品。
でも、実際に英語の本を手にしたことは無かった。

重厚な装丁をした表紙
ページを開いてみると、
古びた用紙の独特の匂いがする。



英語の文章はちんぷんかんぷんだけど
美しい挿絵が要所の場面、場面を描いてて
それを見てるだけでもわくわくする。

あ、ここ主人公が苦悩するシーン
この本を手に取ってどのくらい時間が
経過したのか
気が付いたら勧められた窓際の椅子に座って
見入っていた。

翔さんの姿を探すと
本を片手にソファに座っている。



いつもは優しい微笑みをたやさない
柔和な表情なのに、
真剣な眼差しで本に集中してる。
時折り、指先で唇に触れたりしながら
読み耽る姿はいつもの穏やかで柔和な笑顔の
親近感が消えて、
どこか近寄り難い怜悧な雰囲気も感じる。



やっぱり翔さんって
イケメンなんだ。

すっとぼけた会話に、くだらないジョーク
ふるい言い回しのギャグをよく口にする。
笑いの沸点がかなり低くて
とにかくよく笑う優しい人
そんな印象は消え去って
どこか違う世界の大人の男性として見えてくる。





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