イラクサの棘
第12章 to be or not to be
自慰はほとんど許してもらえなかった
いつだって俺が先に上りつめることを
許してもらえなくて
まず口で奉仕して智をイカせてからでないと
達することは遮られてた
くるしさ故に
大胆に巧みに奉仕する技を身につけていくと
上機嫌な智があまく囁く言葉は
潤、おまえほんとに淫乱になってきたな
違っ…俺っ淫乱なんかじゃあ…ぁあ…
俺以外の奴に
こんないやらしい顔みせたり
エロいフェラとかするんじゃねえぞ
さっ、智だけ…んぁ、やあっ…
※ ※ ※
一瞬のフラッシュバックが脳裏を掠める。
「あっ、ありがとう、翔さん…」
「おう、じゃあな。」
「あっ、あのねっ…」
うずまく胸の内
苦し紛れに翔さんに智から連絡が
あった事を打ち明けてしまいたいって思いで
つい呼び止めてしまった。
「ん?どうした?」
伝えてどうする?
今さら…恥の上塗りになるだけだ。
関わりのない翔さんに
自分の惨めな過去を打ち明けたところで
迷惑かけるだけ。
自分が楽になりたいだなんて
俺は何処まで卑怯者なんだ…
「あの、あのね、起きたら…また
さっきのホットミルクジンジャー作ってほしいな…」
「おう、リクエストに応えて
美味いの作ってやる。
なんなら、本の読み聞かせで寝かしつけて
やろうか?」
「フフっ、翔さんのおっきな声だと
眠れないよ、きっと。」
「じゃあ、おやすみ、潤。」
「おやすみなさい、翔さん。」
シェークスピアを手にしてみても読む気には
なれなくて、目を閉じると思い描くのは
翔さんのことばかり。
夢うつつの中、断片的に登場したのも
翔さんだった。