イラクサの棘
第12章 to be or not to be
「潤、もう、寝たか?」
「ううん、まだ寝てないよ
翔さん、どうしたの?」
ひそめた声で
俺が起きてることを確認してから部屋に
入ってきた翔さん。
その手には数冊の本があった。
「さっき潤が気になってたヤツ
それと、あとは関連したのを
いくつか探して持ってきたから。
本読みながらだと眠りやすいだろ?」
「なんで?」
自宅では気に入った本を
枕元に置いてあり、それを読みながら
寝落ちすることが俺のルーティンになっていた。
「おまえ、寝る時よく
パンフレットとか、見てるじゃん。
それに、お土産買う時もめっちゃ説明書きの欄
読んだりしてるだろ?
目で文字追うのが好きなのかなぁって思った
だけだよ。」
本と俺、どっちが好き?
よく智が口にしてた台詞。
寝る前の読書タイムを
邪魔してくるとき、決まって口にしてた。
※ ※ ※
はあ?
ちょい邪魔しないでよ、
やーだ、俺のことかまえよ。
放り投げられた文庫本は
ゆっくりと放物線を描きながら
ベッドの下に落ちていった
拾おうと伸ばした手は、
智によって阻止されて、そのまま下腹部の
中心へと導かれて
彼の欲望を知らされる
潤のさ、読書してる横顔って
めちゃエロテックなんだよな、
…知らないっ、やだっ…ぁあ
普段は温厚で
あまり、自我を押し付けたりすることのない
彼が、ベッドの上でだけみせる
捕食者の顔
智の中に宿る
雄の支配欲が漲る
荒々しく欲望をたたえた眼差し
フフ、俺の身体中に文字描いてみたら
潤は、本じゃなくて
ずっと俺に夢中になるのかなぁ
んんぁ…んふっ…はぁ…