
小さな花
第9章 Rains and hardens
「シンくんが彼氏?…私の?」
「んだよ、不服ってか?」
「ちがうのー!そういうんじゃなくて(笑)」
ねっとりと長いセックスしたあと、じゃれて笑い合う。
翻弄された私がシーツを激しく濡らしたので、残った半分のスペースで密着して眠った。
…
次のかどや出勤日、いつものようにシンくんがやってきた。
「あれ?今日はスーツじゃないね」
「大掃除中~。あーっ、疲れた。」
どうやら店舗の大掃除をしているようで、従業員にも配るためお弁当を7つも注文した。
セツ子さんの手伝いをし、出来上がったお弁当をもって行くとシンくんは煙草をもみ消す。
「はい、こっちがのり弁。こっちが焼肉ね」
「サンキュー」
アスクへと歩き出したシンくんは、すぐに振り向いた。
「どしたの?」
「そういや今日、家のカギ忘れたんだよ」
「えぇ?」
シンくんのマンションはオートロックなので、鍵がないとエントランスへ入れない。
「お前ここ終わったら行っててくんねぇ?」
この間もらった合鍵で部屋に入っていろという事だろう。
「う…うん、分かった」
「じゃ、あとでな」
去っていく後ろ姿を見送り、なんだか気まずくなった。
隣には加奈子ちゃんがいたから…。
「せいらさん…」
「は、はい…」
「やっぱり!有馬さんとお付き合いしてたんですね!」
「えっと…、ん…まぁ…」
「有馬さんかっこいいから、ここに来た頃は恋心もあったり…しましたけど。あっでも今は全然!お二人すごくお似合いです!」
私よりもはしゃいでいる加奈子ちゃんは目を光らせ、きゃぴきゃぴ飛び跳ねた。
…
