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トライアングルパートナー

第19章 純子の再生

「そんなところにはいないわ、あたしはあなたの頭の中にいるのよ、順子っていうの。あたしはあたしだけど、あなたでもあるのよ」
 純子は順子と名乗る女から説明をされた。それによると、潤子という人格が夜間の時間帯に出現し、活動していることを知り、困惑、恐怖、不安が一気に押し寄せた。
「つまり…… あたし、心が壊れたってわけね。この症状は、病気?」
「落ち着いて、あたしの話を聞くのよ…… いい? あたしは、あなたと夜に活動している潤子の仲介者って役なのよ。紛らわしいでしょ? でも、その紛らわしい環境を作っているのは他でもない、あなた自身なのよ」
 純子は手鏡を持って自分の後ろをかざしてみた。鏡に中には自分しか写っていない。
「ねえ、あなたの頭の中にいるって、さっきから言っているでしょ? あたしはあなたから分離しただけ。夜の潤子も分離しただけ。みんなあなたにいた人格よ。あたしにもどうしてこんな複雑な人格ができたのか分からないわ。でも、この3人の人格で仲良く生きていきましょうね、未来永ごうなんだから……」
「そ、そんな…… このまま、治らないの? 自分のやった行動が分からないなんてあたしには不安で耐えられないわ。絶対、嫌よ」
 純子は順子に対し、きつい言い方で否定した。
「そうよね、あなた、夜の潤子の行動を知ったら、卒倒してしまうかもね? だから、あたしがいるのよ。あなたの知らないところであなたのボディで、もちろん、潤子のボディでもあるボディで人生を満喫しているのよ。だから、どんなことをしているのか、仲介役のあたしは知ることができるのよ。仲介役だからね。あたしに気軽に聞いてくれていいことよ、でも、聞いたら、あなた、卒倒してしまうかもね…… だから、聞かないほうがいいわ」

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