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トライアングルパートナー

第22章 純子の統合

 今田純子は植木に体を支えられて危機管理対策室長室にあるソファーに座らせられた。
「室長、お疲れが出たのでしょう。大綱もほぼ完成しました。しばらく、お休みされたらいかがですか?」
 ソファに座る純子のそばに、植木は膝を付いてかがむと、心配そうに順子の顔を見上げた。
「植木さん…… いつも…… ありがとう」
「とんでもありません。室長のお役に立てて光栄です」
 純子は植木の心使いに感謝した。純子にとって植木の言葉は疲れを吹き飛ばしてくれるようでいつもうれしい。係長席をこの室長室に移したいほどで、植木にそばにいてほしい、と思っていた。植木とは、壁を一枚だけ隔てた関係だからこそ、良好な関係を築いてこられた、と改めて思った。壁がなかったら、純子は歯止めが効かなくなるのではと、自分の行動力を恐れた。
「そうね…… 半年間、緊張の連続でしたものね?」
「萬平総務部長の圧力、お察ししておりましたので」
「しっ、めったのことは口になさらないで、あなたまで火の粉が飛んだりしたら……」
「そうですね、これからも続く戦いです。そのためにも、お体は大切ですので、念のため、病院で見ていただいたほうがよろしいかと存じます? わたしがお供します…… その前に、あなたの腹心に……」
 植木はスマホを取り出すと、素早く電話した。純子は、植木が進一に電話をするのだろうと思った。
「一応、小山内さんにも連絡をしておいたほうがいいと思いまして… 彼女が車いすを持って来てくれるそうですから少しお待ちください」
 植木はそう言うと室長室の入り口に立ち、慶子の来るのを待つ、と言う。
「植木さん、なぜ、小山内さんのことをご存じなの?」
「えぇつ? 先日、室長と夕食をご一緒するとき、彼女もお誘いしていらしてましたし、小山内さんの室長を敬愛している様子に驚きました。お二人があんなに親しい関係とは存じませんでした」
「えぇっ、小山内さんとあたしが一緒だった? 親しそうだった?」

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