トライアングルパートナー
第26章 慶子の上京
小百合の話によれば、ここの大学の卒業生である今田純子という女性が、世界を愛で満たそう、というスローガンを掲げ、K区役所で働いている。まずは、K区の住民のすべてを愛で満たす、と、今田はテレビの政治、経済の番組に出演するたび、宣言をしていた。そんな突飛で抽象的な夢を語る人を見たことがなかったので、慶子は変わった方ね、くらいの感覚で顔だけは覚えていた。だから、「ああ、あの美人か?」と容姿は思い当たる。でも、彼女が役所で何をしている人か知らない。
今田純子の勤務先のあるK区内に、今田の後援会事務所があり、この大学のサークルはその支部の、下部組織になる分室という位置だ。
運動音痴の小百合はスポーツ観戦専門だから、始めから文化系を探したが、長い名前のサークルが気になってサークル室を訪問し活動内容を聞いて、その場で入部を決めたという。大人しい、内気な性格をサークル活動しながら克服して変えたい、という彼女の願いがあったがための素早い英断だ。
サークルの活動は分室という位置ではあるが、活動範囲は多方面に渡り、話し下手を克服するため、小百合は介護福祉施設を訪問し経験豊かなお年寄りの話し相手をしながら、ともに豊かな時間を持ちたいと願い、介護施設を週1回だけ訪問している。
慶子には、サークルの名前は落語に出てくる寿限無のようで、長い名前で不都合がないのか、と笑いながら尋ねた。
「そうね、でも、今田純子ファンクラブで通じているわ。だって、あの方、役所では神がかり的にすごい行政手腕の方らしいけど、テレビに良く出ててタレントみたいよね。彼女の前向きなメンタルがすごいのね。つねに、実践しているからすごいわけ。このサークルに来る人って、社会貢献したい、って人がほとんどで、純子さまを教祖みたいに崇めているの。k区では、神さま、仏さま、弁天さま、観音さま、純子さま、って奉っているって、どなたかが言っていたわ、大げさすぎて笑っちゃうけど、ほんとみたいよ」
今田純子の勤務先のあるK区内に、今田の後援会事務所があり、この大学のサークルはその支部の、下部組織になる分室という位置だ。
運動音痴の小百合はスポーツ観戦専門だから、始めから文化系を探したが、長い名前のサークルが気になってサークル室を訪問し活動内容を聞いて、その場で入部を決めたという。大人しい、内気な性格をサークル活動しながら克服して変えたい、という彼女の願いがあったがための素早い英断だ。
サークルの活動は分室という位置ではあるが、活動範囲は多方面に渡り、話し下手を克服するため、小百合は介護福祉施設を訪問し経験豊かなお年寄りの話し相手をしながら、ともに豊かな時間を持ちたいと願い、介護施設を週1回だけ訪問している。
慶子には、サークルの名前は落語に出てくる寿限無のようで、長い名前で不都合がないのか、と笑いながら尋ねた。
「そうね、でも、今田純子ファンクラブで通じているわ。だって、あの方、役所では神がかり的にすごい行政手腕の方らしいけど、テレビに良く出ててタレントみたいよね。彼女の前向きなメンタルがすごいのね。つねに、実践しているからすごいわけ。このサークルに来る人って、社会貢献したい、って人がほとんどで、純子さまを教祖みたいに崇めているの。k区では、神さま、仏さま、弁天さま、観音さま、純子さま、って奉っているって、どなたかが言っていたわ、大げさすぎて笑っちゃうけど、ほんとみたいよ」