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　慶子はまだ見ぬ今田純子を知ろうとパネルを読み進める。
　純子が提唱する「世界を愛で変える」という目標を同じように抱きながら学生たちは卒業してからも、就職したサービス産業というビジネスで活躍していく。彼らは条件反射のごとく反応するよう脳の奥に快楽を埋め込まれていた。彼らは、奉仕活動することにより幸せを感じられるよう純子に教育された。それ以外は幸せと感じられない脳に教育されていた。見返りを求めない奉仕する心は、愛の力によってもたらされた。よって、奉仕することは愛であり、愛の上に愛を重ねる。喜びは比例して増幅していく。それが奉仕の精神である。
　何が幸せかは本来、本人の受け止め方である。何をすれば幸せと感じるのか、何もしなくても幸せと感じるのか、他人には分からない。そこで、客観的な行動基準を本人の脳に仮の幸せというものを作ってやる。比較できない絶対的な幸せとは何か、脳と全身で最高の快楽を感じられるようになるまで本人の脳と体に反復し刷り込む。つまり、奉仕活動で最高の喜びを得られるよう体と脳を教育というカリキュラムで開発する。
　と、ここまではパネルに記載されている。このグループはグループの骨格と言える奉仕活動でありながら非公開にしている活動があった。当然、パネルに書かれていないので慶子は知るすべを知らない。慶子は入部することで今田潤子の腹心となり、この活動を支えていくことになる。
　夜の時間帯、潤子が幹事となり懇親会が月の第1金曜日に開かれていた。その会の参加者は相互による触れ合いというコミュニケーションを取る。会話、会食、遊戯、複数の協同、セックスなど手段は何でもいい。愛で満たされた快感を全員で共有する。もう、他にこれほどの気持ちいいことはない、と思うほどの快感を複数で協働する。それは3人１組のグループで構成される。必ず熟練者が入ることで短時間のうちに合理的に快感を得られるようにしている。セックスは愛によってもたらされる最高の幸せであることを条件反射のごとく体と脳に記憶される。これ以外の行動で幸せは得られない、という前提で、今までにない最高の絶頂感を感じられるまで続ける。だれもの脳と体は、奉仕活動で幸せを感じていることを繰り返し体験する。