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トライアングルパートナー

第28章 人格の統合

 危機管理対策室長の机の前で今田純子の心は生まれてきたときのように希望に満ち晴れ晴れとした気持ちでいた。純子の目標としている「世界を愛で変える構想」は順調に進んでいた。世界を愛に変えるため、スタート地点に立ったような気持ちだった。純子を応援してくれる仲間が増えた。やはり、役所に入って良かった。こんなに素敵な仲間と出会えた。まだ、ここを拠点に仲間が増えていくだろう。組織的に人材を確保するためのルートを構築できた。京王大学とk区役所との連携教育カリキュラムは優秀な人材をK区に集めていける。そのモデル的な第一歩、小山内慶子を確保した。彼女は夜の人格・潤子の思い描いた通りグループに入部した。
 京大在学中から社会奉仕活動に目覚めさせた小山内慶子を調教しk区に取り込めた。学生時代に「今田純子が世界を愛で変える応援をするグループ」に興味をもたせ入部させたことが勝因だ。そのために小山内慶子のそばに加藤小百合を近づけた。加藤は大人しくて従順な性格でk区に在住していたのは好都合だった。こういう子は調教がたやすい。彼女はこれからも入部誘導専門担当として使うつもりだ。彼女は本来京大の事務員だが、「アルバイトしない?」と誘ったら面白そうねと二つ返事で乗ってきた。軽い女だ。
 しかし、加藤は純子と同じように幼少時から悪知恵が働く女だった。優秀な人材を目ざとく発掘する男がいた。ご存じのとおり、純子命の高橋源三郎である。高橋は己の優秀な能力を今田純子のために使うことを己が生まれた運命と思っている。だれよりも優秀な人材を社会教育課で担当となって発掘してきた男だ。悲しいかな己がその優秀な人材には該当しないことを悟った。己はどんな知識を吸収しても頂点には立てないことを本能的に感じ取った。ある意味、人の持つ能力を客観的に見極められる能力に長けていた。彼は優秀な人材を育てることに喜びを見出した。

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