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トライアングルパートナー

第29章 慶子の悩み

 廊下をすれ違うだけなのに、慶子は敬愛する純子さまに見つめられていると体が動けなくなり立ち止まる。純子は慶子の行動を冷静に見極め動きをけん制してくる。純子は慶子が自分の前でそうなることを知っているから、急に歩く速度を遅くするのだ。わざと時間を掛けなめるように見つめながら通り過ぎていく。廊下をすれ違うだけなのに、執拗に容赦なく慶子をいたぶる。しかし、それに答えるように、慶子はたまらなく苦しそうな顔をして見せる。彼女は進一と同じタイプで純子の命令を拒否できない。だから、純子は慶子や進一が何か言うとそれを逆手に取って攻撃してくる。
「あなた、彼に近づいたってことは…… 彼のものを、あなたのこの特別な味覚で味わってみたいってことね? 忙しいあたしの代わりに、これから、あなたが味わってくれるって、ことなの?」
 慶子は純子の言っている裏の意味を考える。すると、純子に逆らえない係長が慶子を守るために勇気を振り絞っていう。
「純子、さっきから…… 変なことを言うものじゃないよ。小山内さんはそんな人じゃないよ、きみ、きょう、変だよ、仕事できっと、疲れているんだね?」
 係長の援護を受けて、慶子はうれしくて涙が出そうだった。係長は言うと立ち上がった。すると純子が係長を見て小さく笑った。
「フフフ…… あら、あら、随分、あわてて、いいのよ、あなたもたまっているのね? ほら、そこ…… あなた、こういう状況は好きでしょ? そんなに大きくしてもう興奮しているのね?……」
 慶子は純子が言う大きなものとは何かと思ったが、すぐに分かるほど、係長の一点が違和感をもつほど前にせり出していた。それに気付いた慶子に対し純子が言った。
「さあ、慶子さん、食べていいのよ。あたしも進一の味を堪能している慶子さんを見たいわ」
 慶子の後ろに立っていた純子が耳元でささやいた。純子は慶子を抱くように背中から慶子の両手を握りしめた。
「さあ、立って、あたしと一緒に味わうのよ」

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