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トライアングルパートナー

第30章 慶子の新しい試み

 慎之介は慶子に真剣な顔で見つめられていると、慶子を利用しようとしたことが恥ずかしくて目を逸らしたくなる。
 慎之介は彼女には自分が天使見習い崩れだなんて絶対言えない。自分のことを天界のアイテムでほれさせたなんて慶子に言えない、と心のなかで叫んでいた。意を決して慶子に向かって言った。
「ごめんなさい。あたし、初めて会ったあのとき、慶子ちゃんに一目ぼれしたの。その後、あなたのことを調べたら今田純子さんと友だちって分かった」
「えぇっ? 純子さまと友だちだからって、何? もしかして、進一さんとパートナーになったのは? ええぇっ。どういうこと? あなたの策略なの? そんなこと、あなたがするわけないわ。あたしを不倫女にしておいて、私のことが好きって、どういうこと? わたしが好きならそんなひどいことしないでしょ?」
 慶子は先程からずっと、慎之介のズボンを引きずり下ろしたままだった。こんなことをするなんて慶子は自分の行動が信じられなかった。すっかり今田純子に感化されて心も体も変わった。
 慶子は大胆な行動を取ってしまった自分にも驚いていたが、慎之介の男装を知ってさらに驚いた。ナヨナヨした感じの男性とは思っていたが、目の前にある慎之介の紫色のボクサーパンツを見てぼう然としていた。男性ならだれでもある小高い丘がなかった。
「慶子ちゃん、ズボンを下ろしてどうするつもり? あれを出すつもりだったの?」
 慎之介はエロMエッサイ無さまに慶子ちゃんを悲しませないようにという命令に応えるため天界のアイテムを使ってしまった。自分は天界の人間だ。人間に恋をさせることはあっても、自分に恋をさせるなんて許されないし、人間と自分が恋愛関係になるなんて前代未聞の天界不祥事だ。そんな結果になることを知っていながら慶子への思いを押さえられなかった。
 慶子が好きだ。だから、好きになってほしかった。

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