テキストサイズ

トライアングルパートナー

第31章 慎之介の波

 慶子は純子の言葉に目を大きく見開いた。
「そ、そんなこと、ありません、純子さま、わたしはそんな、そんなぁー、恥ずかしい……」
「そうなの、それは良かったわ。進一さんの持ち味を理解したのね? あなたは美食料理家だし、進一さんの持っている素晴らしい味を発見し、病みつきになったというわけね? 隅に置けないわね、あなたは。そして、さらに…… 今度は女性の味も知ると、ずっと…… 堪能したくなったというわけね…… つまり、美食家としてのあなたの天性の追求心の血が騒ぐわけね」
 純子が慶子の顔の前に立つと首筋に純子が唇を近づけてキスした。その途端、慶子は首をビクンと立てた。
「慶子さんの気持わかるわよ。わたしもあなたのなめたくなるもの、こうして首筋から全身の隅々までね……」
「ご、ごめんなさい、こんな恥ずかしいわたしで、ごめんなさい……」
「しょうがないお嬢さまねぇー 貪欲すぎるわ。きょうはわたしと植木のものを味わっていく?」
「えぇっ? 植木係長もいいんですか?」
 慶子は植木の顔を見つめ、うれしさで顔が明るくなった。
「どうなの? かざんさん?」
 植木は純子に聞かれて片手を顔の前に出し左右に振りながら言った。
「だめですよ、こんなおじさんのがおいしいわけないでしょ? 室長も冗談が過ぎますよ」
「あら、そうなの。あなたは若い子になめられるのは好きではないの? 慶子さんは何と言っても美食家だから、ゲテモノや未知のものには興味本位で味わいたいのよ、ねえ、慶子さん? おじさんの味も経験したいでしょ?」
「室長はひどいなぁー いくらなんでもゲテモノはないでしょ?」
「何を言っているの。たまには若い子になめてもらうといいわよ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ