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トライアングルパートナー

第31章 慎之介の波

「…… じ、純子さま、ごめんなさい、でも、慎之介さんとお話しするのも何も、わたしもまだ3回しかお会いしたことがない方なんです。彼はゲーム店の店長をしていてそこで私たちと知り合ったんです」
 慶子は頭を深く下げて、純子に向かって謝っている。
「実は僕もその店でスマホを買っていたんだ。それで慎之介さんと慶子さんが仲がいいみたいで、僕も2回ほど会ったってだけなんだ」
 進一が慶子の話に追加した。
「何、なの? あなたたち? たった数回だけお会いした方と意気投合したってわけなの? そうね、愛って…… そんなものね……」
 純子は進一に同意を求めるように声を掛けた。顔を下に向けていた進一が顔を上げた。
「慶子さんがその人を好きになったんだけど、女性だったんだ。慶子さんのお父さんには僕と慎之介さんと3人で同居することで話を進めるつもり。だから、心配しないでいいから」
「何それ、あなた、女性二人と一緒に生活するわけ?」
 純子は目を大きく開けて驚いた。そして、純子は一転し、慶子をにらむように見た。慶子が言う。
「わたし、純子さまも慎之介さんも進一さんも、大好きだけど、同性の慎之介さんの好きは何か違うの。好きだけでは満たされないみたいなの……」
「えぇつ? どういうこと?」
 そう言った純子はもじもじする慶子をさらににらんで詳細を知りたがった。それを感じた慶子は顔を上げて純子をゆっくり伏し目がちに見る。
「味わいたいの…… 無性に味わいたいの…… すべてを味わいたいの……」
 慶子が慎之介への思いを純子に話した。純子はそれを見てにやりと笑った。
「はぁはーーん…… 慶子さんは美食家だったものね? 分かるわよ、二人ともすごく良かったのね、分かるわよ」

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