トライアングルパートナー
第32章 純子の構想
慶子は進一を目の前にすると、特徴のない容姿を見るからなのか、風采の上がらないしょぼいおじさんだからなのか、慶子自身も良く分からない感情が湧き上がり、憎まれ口が口をついて出てしまう。
「そうなんですね? おじさまの世代はそうなのですね? 分かりました、わたくし、不本意ですが、わたしは経験豊かなおじさま世代に敬意を表し、湧き上がる革新的なアイデアはなるべく出さず係長の旧態依然としたご指示、ご指導を優先するように致します」
進一は嫌味たっぷりな慶子の物言いに苛立つことがあったが、高橋人事部長に丁寧に指導するようクギを刺されていた。進一が統括する係は自らも含め4人だ。慶子はその一人になるが、なにかカンに障る言葉は進一と二人のときに限って言っているように感じた。まるで進一を挑発するかのような感じを受けた。進一は新人類の代表みたいな慶子には嫌われても仕方ないと思っていた。それは進一の大きな勘違いだった。慶子もまた、彼が嫌いだから憎まれ口が思わず口を出てきてしまう、と思っていたが反対の感情のためだと気付かなかった。
男子小学生が好きな女の子の気を引くため、スカートをまくり女の子から嫌われてしまうのと同じで、恋愛経験ほぼゼロの二人は恋愛に関し小学生レベルだった。
進一はどんな住民説明会でも住民に丁寧に誠心誠意、事業課に任せず、自分の言葉で自分も相手も納得が行くように入念に調査した上で説得会に従事した。
進一は今まで、公私共に相手の心に負の感情を起こさせないよう丁寧な調査、木目の細かい心づかいを心掛けた。かつて、美人で優秀な純子にあり得ないデートに誘われたときも、何でこんな僕を誘ったのか不思議に思いながら有頂天になりながらデートを楽しみ、純子の気持ちに寄り添い応えようとした。
進一は自分の気持ちを後にし、彼女のことを優先するよう心と体が自然に動いた。それが彼にとっての幸せだった。だから、大和田純子に誘われたデートの初日なのに、あろうことか、ラブホテルに誘われた。ホテルの部屋で進一の手足は純子によってベッドに縛られた。今までの純子の性格から信じられない行動だった。時間帯により、純子の人格が分離していたことを進一は知る訳がない。ところが、進一は自分でも考えられない歓喜の声を上げて純子に身を任せていた。彼の根っからのサービス精神のなせる反応だった。
「そうなんですね? おじさまの世代はそうなのですね? 分かりました、わたくし、不本意ですが、わたしは経験豊かなおじさま世代に敬意を表し、湧き上がる革新的なアイデアはなるべく出さず係長の旧態依然としたご指示、ご指導を優先するように致します」
進一は嫌味たっぷりな慶子の物言いに苛立つことがあったが、高橋人事部長に丁寧に指導するようクギを刺されていた。進一が統括する係は自らも含め4人だ。慶子はその一人になるが、なにかカンに障る言葉は進一と二人のときに限って言っているように感じた。まるで進一を挑発するかのような感じを受けた。進一は新人類の代表みたいな慶子には嫌われても仕方ないと思っていた。それは進一の大きな勘違いだった。慶子もまた、彼が嫌いだから憎まれ口が思わず口を出てきてしまう、と思っていたが反対の感情のためだと気付かなかった。
男子小学生が好きな女の子の気を引くため、スカートをまくり女の子から嫌われてしまうのと同じで、恋愛経験ほぼゼロの二人は恋愛に関し小学生レベルだった。
進一はどんな住民説明会でも住民に丁寧に誠心誠意、事業課に任せず、自分の言葉で自分も相手も納得が行くように入念に調査した上で説得会に従事した。
進一は今まで、公私共に相手の心に負の感情を起こさせないよう丁寧な調査、木目の細かい心づかいを心掛けた。かつて、美人で優秀な純子にあり得ないデートに誘われたときも、何でこんな僕を誘ったのか不思議に思いながら有頂天になりながらデートを楽しみ、純子の気持ちに寄り添い応えようとした。
進一は自分の気持ちを後にし、彼女のことを優先するよう心と体が自然に動いた。それが彼にとっての幸せだった。だから、大和田純子に誘われたデートの初日なのに、あろうことか、ラブホテルに誘われた。ホテルの部屋で進一の手足は純子によってベッドに縛られた。今までの純子の性格から信じられない行動だった。時間帯により、純子の人格が分離していたことを進一は知る訳がない。ところが、進一は自分でも考えられない歓喜の声を上げて純子に身を任せていた。彼の根っからのサービス精神のなせる反応だった。