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トライアングルパートナー

第14章 三人の会食

「ね、そうだろ? 美味しいだろ? こんなに若いのに大した腕前だ」
 進一が慶子を立てる。すかさず、慶子が反応して言った。
「ありがとうございます。そんなことをおっしゃっていただいてうれしいです」
 慶子の顔が満面の笑顔になった。それを見た笑顔だった純子が真顔に変わった。
「フフーーン そういうことね? 若いけど、あなたにはこれだけの味が作り出せる技術があるってことね? 特別な味覚があなたには備わっている。 フーゥフーー 小山内さんは、あたしの夫を…… かわいさだけではなく、この料理で釣った、というわけね?」
 純子は座っている慶子をなめるように全身を見つめ始めた。そして、席を音も立てずゆっくり立つと、純子の座っている真後ろに歩いていった。純子は、慶子の首筋に顔を近づけるようにかがんだ。
「あなた、彼に近づいたってことは、、彼のものを、あなたのこの特別な味覚で味わってみたいってことね? 忙しいあたしの代わりに、これから、あなたが味わってくれるって、ことなの?」
 隣に座る進一がその話を聞いてびっくりした顔になった。
「純子、さっきから…… 変なことを言うものじゃないよ。小山内さんはそんな人じゃないよ、きみ、きょう、変だよ、仕事できっと、疲れているんだね?」
 進一はそう言いながら座っていられず、立ち上がっていた。
「あら、随分、あわてて、いいのよ、あなたもたまっているのね? ほら、そこが…… あなた、こういう状況は好きでしょ? そんなに大きくして……」
 慶子と純子は、立ち上がっている進一の一点を見つめた。進一の部分がビラミッドになっていた。
「さあ、慶子さん、食べていいのよ。あたしも味を堪能している慶子さんを見たいわ」
 慶子の後ろに立っていた純子が耳元でささやいた。純子は慶子を抱くように後ろから慶子の両手を握りしめた。
「さあ、立って、あたしと一緒に味わうのよ」

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