ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第5章 【ターニングポイント】
「言ったろ?悠のSOSならいつでも駆けつけるって、どう?格好良いだろ?元旦那も」
おちゃらけて笑う方向に持っていくのも章介の優しさだってわかってる。
ネクタイ締めたらやっぱ、サマになってるね。
寝癖一つない短い髪。
もう気持ちはなくて身体だけの関係なのに玄関まで見送る変な朝。
「え、何か新婚さんみたいじゃね?」
まだおちゃらけるつもりか。
こっちは結構悪い事したなって反省してるのに。
「そんな顔するなよ」って髪を撫でられる。
「ありがと」
すっ飛んで来てくれて…は呑み込んだ。
「大丈夫、俺が好きで来ただけだから」
「ちゃんと寝れなかったよね」
「そうだな、何だよ来たのに爆睡かよ〜抱けねぇじゃん…とは思ってムラムラして寝れなかったけどな?でも悠が襲ってきてくれたお陰でチャージ満タンだよ!」
バカだな………ううん、バカで居てくれてる。
私がいつも通り冷たく居れるように。
気を遣わせてしまってる。
だからその斜め上を行きたくなって。
ネクタイ掴んでキスしてあげたら喜ぶんじゃないかって、そんなの余計に新婚みたいだって思わせてしまうかもだけど。
勝手に身体が動いた。
一度じゃなく、二度…三度と唇を重ねて舌を割り入れるの。
少し余韻を残して至近距離で見つめ合う。
この雰囲気を私たちは知っている。
もう遠い過去の記憶だけどね。
久しぶりに味わった。
思わせぶりな態度でバッサリ切る私に落胆させるのも見えてるはず。
「これは……ご褒美ってやつ?」
「ん、嫌いにならないで……てやつ」
そう言ったら持ってた鞄落っことして腰から引き寄せキスの嵐に見舞われる。
やっぱり煽っちゃったか。
倍くらい返ってきた。
思わず胸を押し返す。
「時間、遅れるよ」
「絶対来るから……真夜中でも」
「わかった」
「遠慮なんかしたら二度と来ないからな」
「え、それは嫌……」
再び塞がれて舌を絡め合う。
胸を叩いても今度は離れない。
苦しいくらい吸われてきつく抱き締められた。