ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第5章 【ターニングポイント】
ケイコの非日常だった日々の最後。
どんな結末が待っているのか。
ドラマオリジナルだからといって真逆は出来ない。
ラストシーンはまだ決めてない。
決めたとしても、ケイコがそれを望んでいないような気がして。
そこに辿り着かないと見えない景色がたくさんあるから。
「まだ時間はあるけど限りもある、煮詰まったら必ず連絡して?いや、しろ」
「はい」
デスクに向かって描いてた私と同じように目線を合わせてしゃがみ込む。
「俺も、読者も、ドラマ制作チームも、これからそれを観る視聴者も皆、タカラアキの描く世界観を楽しみに待ってる……お前は出来る子だ、俺はそれを存分に見てきた、半端な事はしないお前だからこそ心配でもある、一人で悩むな?俺を頼れ、お前の漫画家人生、俺にも背負わせてくれよな?」
「え…?あぁ、ん〜」
「何だよ?早速躓いてんのか?」
「いや、すっごい我慢してるのに……調子に乗っちゃうじゃないですか?持ち上げ過ぎですよ、キャパオーバーも良いとこ……鍵山さんは、いつも通りケツ叩いて早くネームあげろ!って言っててくださいよ」
何気に両手握られて熱く語られましたけども。
恥ずかしくて目も合わせられない。
「俺だって嬉しいんだよ、めちゃくちゃハメ外してぇ、これでも必死に抑えてんだぞ?」
「アハハ!それで!?わかんないよ、鍵山さん常に無表情だもん」
「言っとくけど今めちゃくちゃテンション高いからな?そうだ、プリン食うか?」
「食べる!やった!」
30分並んで買ってきたらしいけど、こんな強面がプリン買うのに並んでるところを想像しただけでまた笑える。
二人掛けソファーに並んで一口食べると蕩けるほど美味しい。
「釜戸プリンじゃん、よく買えたね〜」
「本当美味そうに食うな?」
そう言って口元に着いたのを舐めてくるのも自然にやってのけるのね。
鍵山さんも食べれば?に対して「こっち食べる」って私6個も無理なんですけど。
ねぇ、来るたび襲ってくるの?
「この格好、堪んないな」