テキストサイズ

ナカまで愛でてトロトロに溶かして

第7章 【譲れないもの】






「言っとくけどこんな執着した女初めてだから俺だってどうしたらいいかわかんねぇ……ただ離したくない、格好悪くても良いからどんな事をしてでも引き止めたい……あぁ、クソっ……そんな顔させたい訳じゃないんだ、ごめん」




「いえ……中途半端な私が一番悪いんですよね、ごめんなさい」




「いや、今の状況で謝んないで……かなりキツい」




な、何も言えない。
この場をどう乗り切るべきなのか。
鍵山さんを納得させれる言葉が見つからない。




「シャワー浴びた?」





突然聞かれて咄嗟に「はい」と答えたら「アイツとヤったから?」って振り出しに戻った気分。
「俺のタカラアキなのに」と不貞腐れるのは如何なものかと。




額をくっつけられもう吐息が掛かる距離。
気を抜いてしまえば絶対キスされる。
頬に手を添えてきて肩に力が入る。




「タカラアキの時は俺が独占する……良いよな?」




「え……?」




「百歩譲ってだ……頼む、それだけは許して」




「許してって何ですか?今は思いきりプライベートな時間ですけど」




漫画家してる時は俺のだって言いたいのかな。
オモチャの貸し借りみたいじゃん、私。




「それで鍵山さんは本当に良いんですか?タカラアキだけで?仕事モードの私しか手に入らないんですよ?こんな事ももう出来ない、ネームですか?今すぐお見せしますね」




手を振り解きリビングに通じる廊下を歩き出すと慌てて手を取り壁に押し倒された。




「意地悪言うなよ、どんな形でも繋がっていたい男の足掻きだろ」




「………んんっ」




やっぱり唇を奪われた。
嫉妬にまみれて昨日一日どんな気分で過ごしたんですか?
やっと掛かってきた電話で怒るしかなかったんですね。
こんなに振り回しちゃってごめんなさい。




「仕事してる格好良い鍵山さんは何処に行ったんですか?尊敬してやまないのに」




「アイツの後でも良いから抱かせて」




「タカラアキはそんな事しません」




「悠ぁ………」




いつも完璧主義者の鍵山さんを崩していくのは楽しいかも…なんてゲスな考え。
さっき言ってた腹黒い私が出てきてる。




「こんなフラフラしてる女、早く切った方が鍵山さんの為ですよ?仕事はちゃんとしますから」









ストーリーメニュー

TOPTOPへ