ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第1章 【私、TL漫画家です】
「あ、珈琲淹れましょうか?」と蓮くんが席を立とうとしたのでせっかく良い背景描いてくれてるから「自分で淹れるよ」とキッチンへ向かった。
イチゴをモグモグしながらマシンにセットして。
あ……ガサツなのは私か、なんて立ち食いしてる自分に笑った。
「あっつ!」
「あ、蓮くん見てきて」
声でわかるのか?
千景ちゃんが冷静に対応している。
慌てて見に来た蓮くんが私の手を冷やすのだ。
「だ、大丈夫ですか!?良かった、まだ利き手じゃなくて……僕がやりますからコレ冷やして座っててください」
「ん……」
「え?あ………騙しましたね?」
イチゴ咥えて差し出すから水を止めて睨むの。
良いじゃん、このくらい。
今、猛烈にキミをからかいたい気分。
締め切り間に合いそうだから超絶気分が良いの。
チラチラと千景ちゃんの背中を見ながら「ダメですって」とジェスチャーする。
え、そんなの聞くわけないじゃんね?
首を振りながらズルズルと壁に押し倒しながらしゃがみ込んだ2人。
「早くしないとこっち見に来ちゃうよ」
再び咥えて差し出したらもう逃げれないと思ったのか意を決してパクっとかじってきた。
思いきり目瞑ってんの、ドキドキ感味わってよ。
って、アラサーの女じゃダメか。
かじる時ちょっと唇当たったね。
「つーか私の漫画でムラムラしたりしないの?」
「そ、そんな事してたら仕事になりませんよ」
「ふーん、優秀だ」
「でも、たまにはこういう刺激も良いでしょ?」
「ダメです、アキ先生は僕をからかい過ぎます、我慢してる身にもなっ……あ、何でもないです」
耳まで赤い顔にニヤニヤして
「ふーん、我慢してるんだね」と本音が聞けたところで退散する。
ソファーでプロット立てたり簡単にネームしたりと各々過ごす時間。
「出来ました」
こうしてこの2人のお陰で私にも余裕が生まれる。
漫画家にとって優秀なアシスタントはなくてはならない存在だ。
どちらが欠けても痛い。
終わった後のキスは全力で2人から拒否されてちょっと切ない私です。