ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第2章 【それぞれの葛藤】
再び鳴り出すインターホン。
重い身体を引きずり確認もせず、忘れ物でもした章介だと思い込みドアを開けてしまった。
「何?忘れ物?」
あっ……違う。
ふと今さっき言われた言葉が頭に蘇る。
“鍵山って男にも逃げないで”
“絶対俺を選んで”
「帰っただろ?」
「え………はい」
「酷いな、俺が居ながら早速浮気?」
もしかして…ずっと待ってた?
章介が帰るの確認して来たの?
ゆっくり入ってきて抱き締められる。
フワッと匂う鍵山さんの香り。
「ちゃんと言わなきゃ伝わってなかったんだな……俺、何とも思ってない子、抱いたりしないから……遊びなんかじゃない、本気で、悠が好きだ……俺の女になれよ」
また返事さえ聞かずに唇が重なる。
待って…と抵抗したら待たない…と再び奪われた。
随分、自分勝手なキスするんですね。
だから舌を噛みます。
噛んでキスを止める。
そっと身体を離し、それ以上を拒む。
「え……?仕事し難くなるのは嫌です……鍵山さんの事は一番信頼してるし失いたくないんですけど」
「何で失う前提で話するの?仕事もプライベートも支え合ったら良いだけの話じゃない?」
「無理です、分けたいタイプなので、私」
「分けれてなかったよ?俺に抱かれてめちゃくちゃ腰振ってたの誰だっけ?」
「や、やめてください……忘れません?あれはお互い弱ってたって事で」
「弱ってたら誰とでもセックスするの?」
「いや……そうじゃないですけど」
「ふーん、1回寝たからって勘違いするなって事か」
バン!とわかりやすく壁ドンされてしまった。
お、怒ってます…?目が怒ってる。
「元旦那とは今どんな関係なんだよ、結構な頻度で会ってるみたいだけど」
降ろした髪をクルクルと触ってくるけど目は笑ってない。
「プライベートなんで」
「はぁ……ごめん、やっぱ引くのとか無理だわ、力づくでも今、悠を手に入れたい…」
顔を持ち上げられ再び唇を奪われた。
熱くて……1ミリも動けない。
激しいけど優しさもあるキス。
頬に触れてる手に手を重ねた。
独占欲にまみれた舌先に絡ませる。
鍵山さんのキスは嫌いになれそうでなれない。