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瑠璃色の補習

第1章 出会い

瑠璃はゆっくり遠くを見つめながら話し始めた。



まず、瑠璃は進学の意思はあると言った。
そして、自分でも性の授業を受けなければいけないことは分かっていると。

しかし、どうしても自分は性の授業が怖く、気持ち悪くて仕方ないと。

その理由は北沢にとって衝撃的だった。


子どもの頃に性的虐待を受けたというのだ。


加害者は従兄弟の大学生。
当時5歳だった早河に、殴る蹴るの暴力と共に、無理矢理挿入したり、顔面に射精したり、その他にも考えるだけで背筋が凍るようなことを1年半にもわたってやり続けたそうだ。


早河の両親はそれを知り、警察に届けようとしたが、従兄弟の家は早河の家よりももっと大きく権力もあったことから丸め込まれてしまったのだという。


それからその事件は無かったことにされ、早河はその苦しみを誰かに打ち明けることを禁じられてきたのだった。

高校に入り、最初の授業で男子の射精の映像を見せられた。
その白濁を見た瞬間、嫌な思い出が全てフラッシュバックし、授業に出ることができなくなった。

一度、一年次のときの担当の先生に打ち明けようとしたが、その従兄弟は今、本学に多額の寄付をしていることもあり、

そんなのあり得ない

と一蹴されてしまったのだという。

どれだけ早河は傷つけられてきたのだろう。
それを思うと自分でも気付かぬうちに涙が流れていた。

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