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墓守は眠らない

第1章 三日月の章

(まさか二人とも抜けなかった、なんてオチはないよな?)


 しかし自分よりも霊力があり、神に仕える巫女でさえ抜けなかった刀だ。それを何の力もない自分が抜けるなど──。

 
 その時だった。
 背中に凄まじい殺気を感じ、虎太郎はすぐに身を屈めた。


 ドオンッ!!


 虎太郎の頭スレスレに、化け物の長い腕が伸びて巨木を破壊する。


「刀がっ……!」


 しかし間一髪、刀は無事だった。


「もうっ、しつこい!」


 鈴音は咄嗟に人差し指と中指で手刀を作り、宙で五芒星を描く。


 バチバチバチィッ!!


 鈴音が張った結界が作動し、化け物の攻撃を防いだ。


「霧島くん、今のうちに刀を抜いて!」

「……っ!」


 もうあれこれ考えている暇はない。
 虎太郎は柄の部分を握ると力を込めた。



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