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墓守は眠らない

第1章 三日月の章

 すると、おかっぱ頭の少女はしめ縄が張られている巨木へと手をかざした。
 ズ……ズズズッと巨木から刀の柄の部分が出てくる。


「なっ……木から刀が出てきた!?」


 刀は巨木の中で守られていたようだ。
 しかし全部は出てこない。


「さあ、この刀を抜くのじゃ」


 おかっぱ頭の少女は虎太郎たちに振り返り、ニッコリ笑う。


「抜くのじゃって、岩に刺さったエクスカリバーじゃないんだからさ……」


 虎太郎が躊躇っていると、鈴音が先に柄を掴んだ。


「この刀に選ばれるのは私よ。だって私は巫女だもの!」


 鈴音は自信満々に言い放つ。
 しかし柄を掴んだものの、びくともしなかった。


「うそっ……なんでっ……」


 刀を抜けなかったことに、鈴音はショックを隠せない。


「さあ、次はおぬしの番じゃ」


 虎太郎はゴクリと唾を飲み込む。
 


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