デーモンハント
第3章 契約
窓の外に広がる、明かりの消えた街を見ながら、エルザは目を閉じる。
思い出したのは三年前……エルザが十四歳の時の出来事だった。
エルザの両親はごく普通の人間で、ケーキ屋を二人で営んでいた。
人に恨まれることも無く、むしろ人々に愛されていた。
おかげで店は常連のお客さんで毎日賑わっていた。
エルザは時折手伝いをしたりしていて、家族を誇りに思い、両親の事が大好きだった。
ある日のこと。
エルザが手伝いで店番をやっていた時、一人の男が店に入って来る。
「いらっしゃいませ」
エルザはにっこりと笑顔を向けて、客に声を掛けた。
男は帽子を深くかぶっていて、真冬でも無いのに暗い赤のロングコートに身を包んでいる。
よく見ると、赤い手袋もしていた。
(そんな寒くもないのに、不思議な人)
と、エルザは違和感を感じながらも、お客様である男に笑顔を向けている。
「チーズケーキ二つと、ブルーベリーのタルトをひとつ」
男は他のケーキを見ることも無く、エルザに言う。
チーズケーキもブルーベリーのタルトも、人気商品なのでエルザはこの店の噂を聞いてやってきたお客様なのだろうと納得し、ケーキを箱につめる。
「お待たせしました、こちら、ケーキになります」
明るくエルザが言うと、男は無言でお金を払い、箱に手を掛けた。
「ところでお嬢さん」
「はい?」
声を掛けられ、エルザは首を傾げる。
「ご両親は元気ですか?」
そう聞かれ、エルザは何の目的があってそんな事を聞くのかと、少し不安になった。
常連の客がきくのなら、何となく理解もできるが、初めて来た客がそんな質問をする事に違和感を感じる。
しかし、何も返すわけにも行かず、エルザは。
「はい、二人とも元気に奥でケーキを作っていますよ」
と返した。
それを聞いた男は微笑んで。
「それは良かった」
そう呟くと、店を出ていった。
男が出ていったのを見ながら、エルザは言葉にならない不安を感じ、何故だか体が震えた。
思い出したのは三年前……エルザが十四歳の時の出来事だった。
エルザの両親はごく普通の人間で、ケーキ屋を二人で営んでいた。
人に恨まれることも無く、むしろ人々に愛されていた。
おかげで店は常連のお客さんで毎日賑わっていた。
エルザは時折手伝いをしたりしていて、家族を誇りに思い、両親の事が大好きだった。
ある日のこと。
エルザが手伝いで店番をやっていた時、一人の男が店に入って来る。
「いらっしゃいませ」
エルザはにっこりと笑顔を向けて、客に声を掛けた。
男は帽子を深くかぶっていて、真冬でも無いのに暗い赤のロングコートに身を包んでいる。
よく見ると、赤い手袋もしていた。
(そんな寒くもないのに、不思議な人)
と、エルザは違和感を感じながらも、お客様である男に笑顔を向けている。
「チーズケーキ二つと、ブルーベリーのタルトをひとつ」
男は他のケーキを見ることも無く、エルザに言う。
チーズケーキもブルーベリーのタルトも、人気商品なのでエルザはこの店の噂を聞いてやってきたお客様なのだろうと納得し、ケーキを箱につめる。
「お待たせしました、こちら、ケーキになります」
明るくエルザが言うと、男は無言でお金を払い、箱に手を掛けた。
「ところでお嬢さん」
「はい?」
声を掛けられ、エルザは首を傾げる。
「ご両親は元気ですか?」
そう聞かれ、エルザは何の目的があってそんな事を聞くのかと、少し不安になった。
常連の客がきくのなら、何となく理解もできるが、初めて来た客がそんな質問をする事に違和感を感じる。
しかし、何も返すわけにも行かず、エルザは。
「はい、二人とも元気に奥でケーキを作っていますよ」
と返した。
それを聞いた男は微笑んで。
「それは良かった」
そう呟くと、店を出ていった。
男が出ていったのを見ながら、エルザは言葉にならない不安を感じ、何故だか体が震えた。