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デーモンハント

第9章 仮面の悪魔

剣を避ける事はできたものの、エルザは足に痛みが走り、眉間にシワを寄せる。
足の傷口から血が僅かに吹き出し、ずきずきと痛んだ。

しかし、痛みに動きを止める事は無く、エルザは剣を振り終えた悪魔に向かって剣を振り下ろす。
悪魔はエルザの剣を自分の剣で受け止め、金属がぶつかり合う高い音が室内に響いた。

エルザは肩の傷のせいか、悪魔の力に押され、歯を食いしばる。

「早く死んでよ、デーモンハント」

悪魔はそう言うと、剣から片手を離してエルザの首を掴む。

(しまった!)

首を掴まれた事にエルザは焦り、汗が吹き出す。
悪魔は容赦なく首を掴む手に力を込めた。

「うっ、ぐっ」

掠れた声を漏らしながら、エルザは次にどう動くべきかを探る。
少しでも剣を支える力を緩めれば悪魔の剣に切られてしまう。
しかし、このままでは窒息、あるいは首を潰されてしまう。

(まずい、シフォンを助けないといけないのに……!)

そう思いながらも、だんだんと視界が悪くなってくる。
目がチカチカとして、視界が狭まっていくのを感じた。

(ここまで……なの?)

此方を見ながら勝ち誇った笑みを浮かべる悪魔を睨みながら、エルザは苦し気に口をぱくぱくとさせる。

その時だった。

「おもちゃ、頂きましたよ」

ソレルの声がした。

その言葉に悪魔はエルザを投げ捨てて振り向く。
そこにはシフォンを抱いたソレルが立っていた。

そして、ソレルは悪魔に見せつけるようにシフォンの額に優しく口付ける。

「半端者くん、君って悪魔を怒らせる才能が有るみたいだね」

悪魔は苛立った様子で言うと、ソレルの方に手を向けて光の矢を無数に空中に作り出した。

「あらら、怒ったんですか?」

きょとんとした表情でソレルが言った瞬間、悪魔はソレルに向けて矢を放つ。

ソレルはシフォンを守る。

悪魔はそう判断した上で矢を放ったがソレルはひょいとシフォンを自分の前に出した。
まるでシフォンを盾にするように。

「は?!」

悪魔は驚きに声を上げる。
同時に矢は全て消えた。

「ふふ、あなた結構おもちゃを大切にするタイプなんですね」

ソレルはそう言って、にっこり笑った。
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