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デーモンハント

第6章 発見

エルザとソレルが出会ったあの日、確かにソレルは契約をしたと言っていた。
エルザは少し混乱しながら、ソレルの目を真っ直ぐに見つめる。

「本当なの?ソレル?」

そう聞いたエルザの声は、弱々しかった。
ソレルは頷き、エルザに頭を下げる。

「本当です、俺は人間と契約なんてできません……騙していて、申し訳ありませんでした」

ソレルは言って、顔を上げた。
今までずっと、ソレルと自分は契約という名の絆で結ばれていると思っていたエルザは、言葉を失う。

「でも、契約をしていなくても、変わらずエルザの下僕です、ですから、これからも」
「黙って!」

ソレルの言葉を遮って、エルザは叫ぶ。
仮面の悪魔はその様子を楽しげに見ていた。

「エルザ」

驚いた表情で、ソレルは名を呼ぶ。
なぜ、エルザが怒っているのか、分からないらしく、ソレルは戸惑っていた。

ソレルが大きな嘘をついていたことに、エルザはショックを受けていた。
ずっと嘘をつかれていたと思うと、沸々と怒りが沸き上がる。

「ソレル、何で騙してたの?」

そう聞いたエルザの声は、泣き出してしまいそうに震えていた。
エルザの問い掛けに、ソレルはエルザの感情に気付いたらしく、気まずそうに視線を泳がせる。

「さぁさぁ、どうする?混ざりもの、彼女は怒っているよ?」

仮面の悪魔はクスクス笑いながら、ソレルのことを眺めていた。

ソレルは一度目を閉じてから、ゆっくり目を開く。

「そうでも言わないと、悪魔である俺を受け入れて貰えないと思っていました」

寂しげにソレルは言う。
それを聞いたエルザは、ぎゅっと手に力を込める。

「お願いです、これからも一緒にいさせてください」

ソレルが言うと、エルザはソレルに近づき、ソレルの頬を叩いた。
乾いた音が響き、ソレルは悲しげに目を閉じる。

「確かにそうね、契約って言葉が無きゃ、貴方を信用しなかったかも。だけど、騙していた事には腹が立ったから、もう一回叩かせて、それでチャラにしてあげる」

エルザが言ったその言葉に、ソレルは目を見開いてエルザを見た。
ソレルは嬉しそうに笑う。

「いいですとも、何度でも叩いてください」

にっこりと、明るい表情でソレルは言った。

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