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デーモンハント

第7章 偉大な方

振り向いた四つ目の悪魔に、エルザは身構える。
この悪魔がソレルを食ったのだと思うと、不思議と恐怖は消えていく。
代わりに怒りがこみ上げて、エルザは悪魔を睨んだ。

「アンタがソレルを……」

今までぼんやりとしていた頭が、はっきりとしていく。
エルザは立ち上がると、部屋の片隅にあったエルザの背丈ほどある背の高い燭台を握る。
そして悪魔を睨み付けた。

四つ目の悪魔はエルザの方を見ながら、ゆっくりと立ち上がる。
口からコートの悪魔の血がぽたりと落ちて、悪魔は口を拭った。

「アンタを許さない!」

怒りに燃える目で悪魔を睨むと、悪魔は両手を持ち上げる。
その姿はまるで、降参でもしているかのように見えた。

「……なんのつもり?」

エルザが聞くと、悪魔は背中を丸めてしまう。

「エルザ」

 悪魔が言った瞬間、エルザの手から力が抜けた。
悪魔からしたその声は、ソレルのものに聞こえたからだ。

「え?ソレル?」

思わず声が漏れだす。
すると四つ目の悪魔の背中を突き破って、刃物が顔を出した。
刃物はそのまま背中を切り裂き、その傷口から手が出てくる。

そして、手で傷口を広げると、その傷口から、ソレルが出てきた。
エルザはその光景を眺めながら、手を震わせる。

血に汚れたソレルは、悪魔の体内から完全に抜け出し、エルザに笑顔を向けた。

「エルザ、ご心配おかけしました」

ソレルが言った瞬間、エルザは燭台を落として、ソレルに駆け寄り、そのまま抱きつく。

「あぁ、エルザ、汚れてしまいますよ」

ソレルが言う。

「馬鹿、馬鹿ソレル!心配したどころじゃ無かったんだから!」

エルザは言って、ソレルを見上げ、そして手でソレルの顔を引き寄せると、口付けをする。
ソレルは驚いていたが、すぐに目を閉じて、エルザを抱き締めた。

暫し、お互いの体温を感じていた二人だったが、そっと離れる。

「ソレル……愛してる」

エルザが呟く。
ソレルはふっと笑って。

「俺もです、エルザを愛しています」

そう返した。

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