
ほしとたいようの診察室
第2章 遠い記憶と健康診断
「わぁー! のんちゃん久しぶり!」
通された採血室で待っていたのは……
「叶恵さん……!」
おそらく幼少期、わたしの注射のほとんどを担当した看護師の叶恵さんだった。
大抵、逃げ回るわたしを蒼音くんが捕まえて、叶恵さんが処置を施していた。
「ね、ちっくんのプロがいたでしょう?」
蒼音くんが得意気に笑う。
叶恵さんも何ひとつ変わっていなくて。
「あら〜、すっかりきれいになっちゃって。元気にしてた? 日野先生も心配なさってたわよ」
「そ……! そうなん、だ……!」
なんでみんなして、日野先生の名前出してくるの……!
例によってまたドキドキと心臓が存在を主張してくる。顔が赤くなりそうで俯いた。
