
ほしとたいようの診察室
第2章 遠い記憶と健康診断
真面目な顔になった優先生が、問いを重ねた。
「採血中に倒れたのは、初めてか?」
しばらく、採血していなかったことを思って、言葉に詰まる。1度、採血後に気分が悪くなったことがあった気がする。
「……気持ち悪くなったことは、あるかも……」
「いつから血液検査受けてないんだ? 最後に医者かかったのは?」
「えーっと……」
中学生くらいまでは、親に連れられて嫌々病院へ行っていたけれど、いつからか一人で行くようになってからは、サボっていたからばつが悪い。
大学の2年間は皆勤だった代わりに、病院からは足が遠のいた。
「思い出せないくらい前か?」
「……はい」
恐る恐る俯くと、
「のんちゃん」
向き直った優先生が、わたしを呼ぶ。
小さい時から、『真剣な話をするよ』の合図だった。
