ほしとたいようの診察室
第8章 入院生活は続く
起き上がって、伸びをする。
伸ばした左手が点滴に引っ張られて、煩わしく嫌な気持ちになった。
うまく寝られなかったからか、頭も重い。
渋々、味噌汁を一口だけ飲む。
ほんのりとした塩分が口中に広がるけれど、それは自分で作る味噌汁よりも希釈されているような、そんな味だった。
厨房で作るときには、ちゃんとおいしいものを作れている気がしていたのに。
やけになっている。病室で何もできない自分がすする味噌汁は、味噌汁の味すらも変えてしまったんだと思った。
前を向けない自分の気持ちがそうさせている。
もう一口、すする。
やっぱり、味が薄い。
もういいや、そう思ってお盆にのせてあった薬のアルミを破ると、適当に錠剤を水で流し込んで、朝食を終わりにした。
点滴を背にして布団に包まる。これ以上、気が滅入るような情報は頭の中に何一つ入れたくなかったから。
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