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ほしとたいようの診察室

第8章 入院生活は続く



吹田先生は、その数分後にやってきた。
朝食を下膳する前に来たのは、きっと食事量のチェックを兼ねていたかもしれない。


「のんちゃーん。入るよー」


間延びした声と共に、吹田先生が病室に入ってくる。
白い白衣はいつも通りの清潔感で、陽太先生とはまた違った香りをなびかせている。


「おはよう」

顔を覗き込まれて、返事をせずにはいられなかった。

「……おはようございます」

カルテを抱いて現れた吹田先生は、点滴と食事を一瞥すると、ベッドサイドの椅子に腰掛けた。

「起きられる? 起きられなかったら、仰向けになって。胸の音聴くから」

手短にそう言われて、少し意外だった。

ご飯のことを真っ先に怒られると思っていたから。
言われた通りにそっと起き上がると、吹田先生が胸のボタンをするすると外した。いつもと同じように、聴診器を当てる時は真剣な顔だった。

「うーん、そうだね。目の下触るよ」

聴診器を外して首にかけると、今度は両手でわたしの顔を包んで、目の下の色を見た。
吹田先生はにこりともしなければ、思わしくない顔もしない。淡々としたその診察には、いつもより救われるような気がした。


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