ほしとたいようの診察室
第8章 入院生活は続く
ゆっくりと、椅子が大きく足を開いていく。
その恥ずかしさに慣れることは、この先ずっとないんだろうなと思いながら、両手をぎゅっと握った。
いちばん見られたくないところに、ライトが当てられる。
「エコーを使って、子宮と卵巣の方を見ていくだけだからね」
今日の診察が何なのか説明を受けても、なんにも頭に入らない。その様子は、カーテン1枚を隔てた大海先生にも伝わっていた。
「のんちゃん、息吸おうか」
吸おうとして途切れる息。
「ん、んん、」
怖くて、涙が出そうだった。
「怖くないよ、大丈夫。すぐ終わるからね。僕の言う通りにしてみてね」
そう言って、大海先生の影は器具を手に取る。
それが怖くて、もう天井しか見ないようにした。
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