ほしとたいようの診察室
第8章 入院生活は続く
「吸って」
震えながら、息を吸う。
「吐いて」
呼吸が浅くなる。でも、大海先生は気にせず軽い口調で褒めてくれる。
「うん。上手だねぇ。そのまま力抜いてて……」
大海先生の素早い動きの後に……。
ぐっ。
「いっ!」
一瞬、油断した隙に棒状のエコーが侵入してくる。思わず、痛みで声を上げた。
「入ったよ、ちょっと中見ていくね」
圧迫感が酷く痛みも出てしまって、体中に力が入る。
「い、や……」
涙が溢れる。
溺れるように息継ぎをすると、本当に拷問のように大海先生が言った。
「ちょっと痛いけど、頑張ろうね。力抜いて。もう少し入れていくよ」
のんびりとした口調とは裏腹に、容赦ない。
ぐっぐっと、開かれたそこにしっかりと器具が入ってくる。
「い、や、い、いたい……やめ……て」
懇願するも全く聞いてもらえなかった。
「嫌だね、ごめんごめん。んーと、」
手早く様子を見ながら、しかし手加減はしてくれない大海先生だった。
「よーし、おしまい。よく頑張ったね」
その声と同時に、器具は引き抜かれライトも消える。
「椅子、動くよ。診察室で説明するね」
何事もなかったように足が閉じていき、降りることが許される。逃げるように下着を履いて、胸を撫で下ろした。
今日は、ここからホルモン剤をどうするか、大海先生から説明を受ける日である。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える