ほしとたいようの診察室
第8章 入院生活は続く
「懐かしかったでしょ? 小児科病棟」
長いこと過ごした記憶は曖昧になっていたけれど、確かにあの空気感には妙に懐かしさを感じた。
「蒼音くん、変わらないと思ってたけど、プロって感じだった」
わたしが言うと、陽太先生は声を出して笑った。
「昔からプロだよ、蒼音くんは」
「陽太先生か、優先生か、プリンかって訊かれたんです。わたし、もうプリンを作る側なのに」
「あはは! そうだね。月日は早い」
陽太先生は顔をくしゃっとさせて笑う。自覚せざるを得ないのだ……そんな顔を見たら、陽太先生の笑顔が好きだと。
「今は入院してるから……作れないけれど」
後ろめたさを含みながら言ったけれど、陽太先生は当たり前のように励ましてくれるのだった。
「頑張ってるんだから、また作れるようになるよ」
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